私たちはまだまだ知らない植物がいっぱいある。
南ラオスの山奥の村にいるとそんな植物と出会う事が多いわけで、しかもそれが単に観賞用ではなく食用だというのだから驚かされる。

さらに驚かされるのは普通に美味しい草も多いということ。

しかし、中には「美味しい」とはとても言えないのもある。
なにせ育てたものでなく、山や野に生える本当に自然のまま育った植物だ。そう都合よく人間に美味しいようにできているはずがない。

しかし、現地の彼らはそれをさも美味しいかのように食べている。しかも基本ほとんど味つけなしで単にゆでたり蒸したり、生のまま食べたりしている。

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「シーン(食べてみて)」
と出された料理(草)を眺め、

「ニャン(何)?」
と問うと、「ほらあの豆の木の葉っぱだよ」とか「そこになってる草だよ」

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なんて答えが返ってくる。

時には「パッションフラワーの花だよ」
って言ってくれるから、どんな味だろうと期待が膨らむ。

しかし、時には日本ではとても味わえないくらいのエグみや苦み、渋みといった強い反応を私の舌が感じ取る。
特に強いのは歯と唇が一つになってしまうような、小さくなってしまうような、そんな反応。

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辛いでも酸っぱいでもない別の反応。
しかし彼らはこれを美味しいと言ってバクバクたべる。

彼らはどうしてこれを美味しいと感じれるのだろう?

「美味しい」は脳がつくりだす?

さて、私は「美味しい」のほとんどが脳で作られ、目で味わい、鼻で堪能しているとおもっている。

だから三ツ星シェフのだれだれが作ったなんて言われれて、美味しい香りと綺麗な盛り付けがあればもうその時点で「美味しい」が9割確定する(と思っている)。

人間の舌っていうのは(一流の料理人など一部の特殊な人を除き)それくらいいい加減なのだ。香りと味(鼻と舌)の受容体の種類の差を見ても、舌がどれほど大雑把か見て取れる。
しかし、そんな頭や香りの補正を差し置いてでもNOと舌が強烈に反応することがある。それがエグミや渋みだ。

つまり、エグイや渋いは、美味しいと感じるよりもう一つ優先度の高い、生存にかかわる防衛本能といえる。

...はずである。

しかし彼らは、それを美味しいといって食べている。
なぜ防衛本能が拒否しているものを美味しいと感じることができるのだろう?ますます疑問がわきおこる

エグミと渋みの正体とは

では植物のエグミやしぶみ、苦みの正体はなんなのだろう?
それは植物が動物に食べられないよう子孫を反映するための防衛本能だと思う。

例えば果実は種ができる前は渋く固く、虫や動物に食べられないようにしていて、種ができると動物に運んでもらうため甘く変わる。

葉っぱが食べられるなどストレスを感じると、植物はポリフェノールなどを発生させ、虫や細菌、紫外線などのストレス対策を図る。

このポリフェノールがエグミの一員である。

しかし、ポリフェノールと言えば植物からの万能薬とも言われる物質で健康食品としてもよく知られるようになった化合物。最も重要な作用が抗酸化作用だろう。実はアントシアニンもカテキンもタンニンもフラボノイドも全てポリフェノール(複数のフェノール性水酸基をもつ化合物)。どれも我々がサプリにしてまで摂取している成分だ。

植物は人間に食べてもらうためにエグミを出してるわけじゃなく、その逆である。しかしこのエグミの元にはポリフェノールなど人間にとっても有用な成分がたくさん入っているのも事実である。
生薬と言われるものの有効成分はほとんどこういった植物の防衛・生存本能によって作られているらしい。

そしてきっと、ラオスの植物はあれもこれも、ポリフェノールなどの防衛成分の分泌が特に多いのだ。
なにせ植物も動物も虫も多様にいるなかで、生き残っていかなければいけないのである。
菜園のように人間が世話してくれない。
自然の競争に打ち勝った植物ばかりだから、力強くて当たり前だ。

エグミと渋みはラオスでは大事な味

さて、話をラオスの農場にもどそう。
彼らはこの渋いとかエグイを平気でいただく
むしろそれがないと物足りない風でもる。

山菜でもタケノコでも下処理をほとんどしない。
灰汁をとったりもしない。
軽くあらってゆでたり生で食べる。

頂いたタケノコの処理をしていると、不思議な顔をしてこちらを見ている。
「どうして味をなくすのか?」
と不思議なんだそう。

(エグミではないが、生姜を蒸していたら、蒸し機に落ちた汁を飲めとすすめてきたりもする)

もっと強烈な味のする植物で、日本人でもわかりやすい植物というとドクダミだろう。
麺をたべるときでも肉をたべるときでも、彼らはそのまま生でいただいている。
是非一度道端のドクダミを生で食べてみてほしい。殆どの人は舌が拒絶すると思う。

しかし、彼らはそういった植物をそのままいただく。
しかもおいしそうに!
その姿は体にとって有効な成分を効率的に摂取しているように思える。

彼らは本能と経験からしっているのだ。そこには大量の抗酸化物質があり体の毒をぬいてくれるということを。
下処理をする分有効成分が失われることを。

だからエグミを美味しいと感じるようにできているのかもしれない。

食べる事が「楽しむ」ことの以前に、「生きる事」に直結しているを感じさせてくれる。

 

そんなラオスの自然の力を届けたい

ラオスの植物は本当に力が強い。
これは私の体感から自信を持って言える
先日かいた生姜なんかはいい例で、力強い香りと辛味はダイレクトに体に力を与えてくれるのを感じる。

冷え性にばっちりのラオスの生姜キンノイを蒸しました

そんな「生きる」に直結した力強いラオスの植物を少しづつでも届けたいと思う。

あの草もこの草も食べてもらいたいものいっぱいあるけれど、まずは生姜とバナナを届けようと思う。

本当に少量で数に限りがありますが、気になった方ぜひ自然の力を試してみてください。

※ご興味ある方は、こちらのフェースブックにメッセージいただければ幸いです。
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