先日から2日に渡りお届けしているシルクパフですが、これを作るにあたり大事にしたことがあります。

それが加熱しすぎないということ

理由の一つはタンパクの劣化

どういうことか?
タンパク質は加熱をしすぎるとどんどんと劣化が始まります
繋いでいた鎖を手放して、タンパク質本来の性質を無くしていくんです。

私たちが、乾繭でなく生繭を使うことを必須としている理由の一つもそれなんです。

乾繭と生繭の違いとは・・?

と、ここで乾繭と生繭というのは少し専門的な言葉になってしまうので、解説します。繭の中には蛹が入っていて、繭を作り始めてから10日間ほどで蛹が羽化し蚕蛾となって繭を破ってしまうんです。繭が破られてしまうと絹糸が取れない(途中で切れてしまう)ので熱風乾燥させて蛹が羽化しないように中で蛹ごと乾燥させるた繭のことを乾繭(かんけん)というのです。
養蚕農家さんが繭を収穫するのは繭を作り始めて7日後くらいなので、糸を引くまでは3日程度しか猶予がありません。そのためほぼ全ての繭は熱風乾燥しています。熱風乾燥なのでやはりタンパク質へのダメージは少なからずあるでしょう。
生繭とはこの熱風乾燥させない繭のことで、繭が最もその機能を発揮している状態と言えます。しかし製品化するには効率が悪いため市場に出回ることはまずありません。それでも私たちはせっかくの繭の効果を最大限発揮してもらいたいと生繭での製品作りに取り組んでいます。

料理でもグツグツ沸騰したお湯で煮ると肉が硬くなったりしますよね?
でも低温でじっくりと熱を通すとなんとも柔らかく美味しい肉料理が出来上がります。
それと同じことがまゆでも起こるのです

高温だとセリシンが溶け出てしまう

タンパクの変性のことともう一つ高温にしない理由があります。
繭をしっかりととかしたいなら、熱湯でグツグツやればどんどんと溶けていきます。
短時間で簡単に堅い決着を剥がすことができます。

しかし、シルクの中でも大事な成分であるセリシンも溶けてしまうのです!

セリシンとは?
繭を細かく見ると、フェブロインという繊維質のものを取り囲むようにセリシンというタンパク成分があります。(写真の真ん中二つに分かれているのがフェブロイン、その周りを取り囲んでいるのがセリシン)このセリシンは保湿効果や細胞の活性化をはかる役割があると言われる最も重要なタンパクの一つ。
しかし加熱とともにこのセリシンは溶けでてしまいます。なるべくセリシンが付いた状態の繭こそシルク本来の力を発揮すると考えているため、私たちは高温での加熱を控えています

 

加熱は60度以下

そんな理由からシルクパフを作りにあたっては60度以下の温度での製造を徹底しています。60度を境目にタンパクの劣化が起こりやすいためです。また60度以下ではセリシンの融解はほぼありません。
しかし60度以下ではあの堅い繭は簡単に緩んでくれません。まだまだ硬さが残った状態。繭の状態はいいけれど、硬くてはお肌に傷がつく可能性がある。それでは意味がありません。
悩んだ結果一つ一つ手作業で結着を剥がすことにしました。加温はなるべく短く低温でし、あとの手作業に時間をかけることにしたのです。

最高の繭の状態を意志しつつ、使いやすく肌に柔らかなパフが完成

試行錯誤を繰り返し、最高の状態を維持しつつ使いやすいパフは最後は人の力によるものでした。
これは手先が器用で一つのことを黙々とやることが好きなラオスの女性の性格とも非常にあっていて、また一つここで養蚕をする意味が発見されました。
繭にもいい、人にもいい、土地にもいいそんなものつくりで、より良い製品を作り出していきたいと思います。

なお、シルクパフは近日中に予約販売を開始する予定です。今しばらくお待ちください。