雨期が始まり、桑も元気に育ち始めたのでいよいよ養蚕開始します。
私たちの養蚕は卵を自社で交配しているのでまずは孵化させるところから始まります。
卵の管理は養蚕において、もっとも大事な工程の一つです。
(孵化させることを、特に催青(さいせい)と言います)
卵はご覧の通りとても小さなものなんです。
大きさはゴマ粒くらい。
数は一つの母蛾からは400粒!
催青と養蚕農家
実はほとんど全ての養蚕農家さんは催青済みの卵か稚蚕を買って養蚕するので、この工程を知る農家はほとんどいません。野菜農家が自家採種せずに種や苗を買って育てるのに似ています。実はこれ、養蚕業が日本の一大産業だった時代に法律で自家採種が禁止になったためなんです。今は養蚕業の衰退とともにその法律も撤廃されましたが、名残で自家採種することはほぼなくなりました。
ということで普通は養蚕農家がやらない催青ですが、私たちは自社で卵を管理しているので、卵の温度管理から始まります。ここを丁寧に管理してあげると孵化が開始します。
約7日間経過して卵が薄くなってきたら一安心。いよいよの合図です。
でもまだ気を抜かず、そこから暗闇で3日間。
そろそろだろうと朝から光を当ててあげると、一気に孵化開始!・・・
してくれてヨカっタァ。
無事に生まれてきてくれました!
なんどやっても生まれるまではドキドキします。
(今回ちょっとばらつきが大きいですが徐々に生まれてきてくれたので一安心です。)
小さい小さいお蚕さんの赤ちゃん(毛蚕(けご)と言います)。
卵がゴマ粒くらいなので、孵化したばかりの毛蚕はこんな大きさ。
ご覧の通り、シャーペンの芯(多分0.5)ほどの太さです。
給桑開始
早速餌である桑を与えてあげます。
桑は薬も農薬も肥料も与えない、耕すことすらしないで作った自然に近い不耕起の桑。
雨期とともに青々と元気いっぱいの桑。
体のサイズにカットしてあげると、
食べてます。食べてます。
美味しい美味しいと食べてます。
キャベツだったら虫食いだって返されそうなくらい食べてます。
一日経つと覆われていた毛が何処へやら。
早くも少しお兄さんに。
毛がないのでこの頃のお蚕さんは稚蚕(ちさん)と呼ばれます。
さらに翌日。
日に日に大きくなるお蚕さん。
食べ方も表面を食べるだけでなく、端から思い切って食べていきます。
もりもり食べる様子を観察するのはいつ見ても癒されますね。
順調に育っていれば、明日は昼ごろから眠という脱皮の準備に入るので、一日食べずに過ごすはず。無事に眠に入ってくれるでしょうか。
稚蚕のうちは特に弱いので、目が離せません。
しばらくは慎重な作業が続きそうです。
ということで、綺麗な繭を作ってくれるように愛を込めた命の養蚕が無事スタートしましたが、本日は此処まで。これから1ヶ月時々養蚕の様子を更新していきたいと思います。