土を改良しないという選択

大陸の赤土と土壌改良

大陸の土は赤土で農業に向かない
水が降れば粘っこく酸素を含みにくく、晴れるとカラカラでカチカチになる。
乾季には鍬も入らないくらいカチカチになるし、
雨季にはこれでもか!ってくらい靴に土がへばりつく。
なかなか一筋縄では行かない土だ。

だから土は改良したほうがいい。(と思っていた)
もちろん改良に化学肥料や不確かな有機肥料なんて使うつもりもないけど、私も含め、以前来ていただいた専門家も同じ意見。

土と向き合うことは農業の基本

程度の差はあれ、日本で今から自給自足をしようとか農業をしようとかいう人もやはりまず土と向き合うことから始まるだろう。

そしてきっと炭素を循環させたり、微生物の声を聞くことでとても素晴らしいフカフカの土が出来上がるだろう。もちろん一切の化学肥料を使わずに。

私もこういった農法を見させてもらい実際にこちらでも実践したいと思った。被覆作物が何がいいかは今もずっと考えている。

ウォンは種を選択する

そんなおり、ウォンが今日も訪ねて来てくれた。
外出禁止令は農家には関係ないらしい。(大統領も農業に関しては積極的に食料時給を行うため推進している。)

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ここにラッキョウを植えていいか?という。
「もちろんいいよ(というかむしろありがとう)」

そこで私は、「牛糞とか入れる?」と尋ねると
「いや、入れない」という

「お蚕糞が出るけど、これ入れる?」やはり
「いや、入れなくていいよ」という。

ちなみにここは水道のタンクより高い位置にあり、水すらまくのが困難なところ。そういうと、
「雨が降るから大丈夫」という。

そして私は、ウォンさんはここでなんでも育てたい訳ではないのだ。と気づいた。
雨の力赤土の力だけで育つ”“を知っているのだ!だからラッキョウの種と言ったのだ。そして私にはレモングラスも大丈夫だよと教えてくれたのだ。

失敗と成功の体験

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そういえば、ここでカオニャオ(もち米)を育てた時、一切土壌をいじらなかった。それでも約500kgと十分なとっても美味しい米を作ることができた。

一方で、タイ産の種とか日本産の種で農作物を作ろうとした時は大抵が失敗に終わった。(これは私が農業をあまりにも知らないからかもしれないが。。。)

タネが蟻に食べられる、新芽がバッタに食べられる。
すぐ隣のローカルの種からでた芽は食べられないのに、買ったタネの芽はことごとく食べられて失敗に終わった。

まだ土が改良されてないというのもあるけど、そもそも土地にあった種ではなかったのだ。

土を改良しないという選択

私は今日、土を改良しないという選択を教えてもらった。
この選択はもちろん色々な作物を育てるには向かない。

この地ではトウモロコシやかぼちゃ、唐辛子などは向いているのだけど、キャベツやナス・人参などを育てることはできないだろう。
だから引き続き自然の力で土の改良は考えると思う。

だけど、「土を改良しない」という選択肢は私の感性を大きく広げてくれた。何でもかんでも改良する必要はない。むしろしない方がいい場合もある。

そう思って顔をあげた。
見渡せば多くの森林が目に入る。
そこには多様な樹木があり生物が命を輝かせている。
そしてふと疑問が沸き起こる。
どうしてここで“植物は育ちにくい”と思ってしまったのだろう。

こちらのエゴを通さなければ、地にあった種はいとも簡単に根付いてくれる。今日もまたひとつ大切なことを学んだ気がする。いつも大切な当たり前を教えてくれるウォンさんに感謝。

自分の思っている当たり前は、違う角度から見れば当たり前でないのかもしれない。

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